結婚で後悔|離婚したいと考えたときの準備と注意点を弁護士が解説

2023年10月12日
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結婚で後悔|離婚したいと考えたときの準備と注意点を弁護士が解説

結婚後、思い描いていた結婚生活と現実のギャップに直面し、結婚したことを後悔する方は少なくありません。

後悔したまま結婚生活を送ることは苦しく、心に大きなストレスがかかります。次第に、離婚したいと考えるのは自然なことといえます。離婚するには、相手から離婚の合意を得るだけでなく、慰謝料、財産分与、親権などさまざまな条件を話し合っていかなければなりません。

したがって、後悔なく離婚するためには感情のままに行動するのではなく、しっかりと事前準備をしてから相手に離婚を切り出すことが重要です。本コラムでは、結婚したことを後悔している方に向けて、離婚したいと考えたときの準備と注意点について、ベリーベスト法律事務所 和歌山オフィスの弁護士が解説します。

1、結婚後悔症候群とは? 男女別にみる離婚理由

最初に、結婚後悔症候群とはどのようなものなのか、また、夫婦が離婚に至る理由にはどのようなものがあるのかについて、以下で詳しく説明します。

  1. (1)結婚後悔症候群とは?

    結婚後悔症候群とは、思い描いていた結婚生活と実際の結婚生活との間にギャップを感じ、結婚したことを後悔している状態のことです。結婚後悔症候群は、結婚してすぐの新婚夫婦によくみられる症状ですが、長年連れ添った夫婦でも離婚を考えている状態になれば結婚後悔症候群に含まれます。

    結婚後悔症候群に陥ってしまうと、相手と一緒に生活することが大きなストレスになります。我慢して結婚生活を続けたとしても、その後、離婚に至る可能性は高くなるといえるでしょう。

  2. (2)夫と妻、離婚を選択するそれぞれの理由

    裁判所が公表している令和3年の司法統計年報では、家庭裁判所に申立てのあった婚姻関係事件について、夫(男性)と妻(女性)別に申立ての動機をまとめています。

    離婚をしたいと考えるそれぞれの理由として、以下のものが挙げられます。

    <夫(男性)が離婚を考える理由>
    • 性格が合わない(1万161件)
    • 精神的に虐待する(3561件)
    • 異性関係(2178件)
    • 家族親族と折り合いが悪い(2082件)
    • 浪費する(2060件)

    <妻(女性)が離婚を考える理由>
    • 性格が合わない(1万7743件)
    • 生活費を渡さない(1万4832件)
    • 精神的に虐待する(1万2296件)
    • 暴力を振るう(9162件)
    • 異性関係(6574件)

2、結婚した相手と離婚するにはどんな方法がある?

結婚後に後悔して離婚したいと考えても、相手が離婚に同意しないケースもあります。離婚するための方法には、以下の3つの手段があります。

  1. (1)協議離婚

    協議離婚とは、夫婦の話し合いにより離婚をする方法です。話し合いの結果、お互いに離婚の合意に至ったときは、離婚届に押印して役所に提出すると離婚は成立となります。手続き自体は簡単ですので、一般的な離婚方法として広く利用される方法です。

    ただし、話し合いの段階で、養育費、慰謝料、財産分与などの取り決めも行いますが、口頭のみの合意で終わらせてしまうのは危険です。養育費や慰謝料などの未払いを防ぐためには、離婚協議の内容を公正証書に残しておきましょう。公的な書面にすることで後日合意内容をめぐってトラブルになるリスクも軽減することができます。

    なお、離婚の原因がDVや相手の不貞行為などで、当事者間の冷静な話し合いが困難な場合は、弁護士に同席や代理交渉を依頼すると安心でしょう。

  2. (2)調停離婚

    調停離婚とは、家庭裁判所の調停手続きを利用して離婚をする方法です。

    調停離婚では、家庭裁判所の調停委員が関与して、夫婦間の調整をしたり、問題解決への働きかけを行ったりしてくれます。そのため、夫婦だけの話し合いである協議離婚に比べて、スムーズな解決が期待できる手続きだといえます。

    離婚調停で離婚の合意に至り調停成立となった場合、夫婦の合意内容が調停調書に記載されます。調停調書に記載された内容は、確定判決と同様に債務名義になりますので、万が一、慰謝料、養育費、財産分与などの未払いがあった場合には、強制執行の申立てにより回収することが可能です。

  3. (3)裁判離婚

    裁判離婚とは、家庭裁判所の裁判手続きを利用して離婚をする方法です。裁判離婚では、裁判所が離婚の可否を判断するという点で、協議離婚や調停離婚とはまったく異なる手続きです。

    裁判所に離婚を認めてもらうためには、以下の法定離婚事由が存在している必要があります。

    • 不貞行為
    • 悪意の遺棄
    • 3年以上の生死不明
    • 回復の見込みのない強度の精神病
    • その他婚姻を継続し難い重大な事由


    そのため、「一緒に生活するのがストレス」「結婚したことを後悔している」という理由だけでは、法定離婚事由には該当しませんので、裁判では離婚をすることは難しいでしょう。もっとも、結婚を後悔した理由に配偶者の暴力や不貞行為などがあった場合には、それらが法定離婚事由に該当する可能性があります。

3、「離婚したい」と考えたときに準備するべきことと注意点

離婚をお考えの方は、いきなり離婚を切り出すのではなく、以下のような準備を整えてから離婚手続きを進めるようにしましょう。

  1. (1)今後の生計や住まいの確保

    専業主婦やパート勤務などで、生活に十分な収入を得ていなかった方は、離婚後の生計を確保するために、就職先を探す必要があります。収入の有無や程度は、離婚後の生活に直結する問題ですので、経済的に苦しい状況にならないようにするためにも、早めに準備を進めていくようにしましょう。

    また、離婚により自宅を出ていくことになる方は、離婚後の住まいを確保する必要があります。実家を頼ることができれば暫くは身を寄せることを検討しましょう。
    それができない場合には、アパートを借りるなど新たな生活拠点を探さなければなりません。引っ越しの際は引っ越し費用や家具家電の購入費用などの出費を伴いますので、それらの費用も準備していく必要があります。

  2. (2)財産分与に向けて相手の財産を調査

    離婚時には、財産分与により夫婦の共有財産の清算を行うことができます。財産分与では、婚姻期間中に築いた夫婦の共有財産が対象になりますが、相手の財産を把握していなければ適正な財産分与を求めることができません。

    夫婦であっても相手の財産をすべて把握しているわけではありませんので、財産分与をお考えの方は、離婚を切り出す前に相手の財産を調査する必要があります。

  3. (3)慰謝料を請求するなら証拠収集

    配偶者から暴力を振るわれた、配偶者による不貞行為があったという場合には、慰謝料請求できる可能性があります。

    ただし、相手が暴力や不貞行為を否認した場合には、慰謝料を請求する側でそれらの事実を証明していかなければなりません。そのためには、それを裏付ける証拠が不可欠です。

    離婚を切り出してからでは、不利な証拠はすべて処分されてしまう可能性が高くなりますので、離婚を切り出す前に録音や動画、メモの記録など、証拠を確保しておくとよいでしょう。どのようなものが証拠になり得るか証拠集めに悩んだ場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

  4. (4)勝手に別居をすることのリスク

    離婚を前提に別居をする場合には、相手の合意を得たうえで別居をするようにしましょう。

    夫婦には、互いに同居義務が課されていますので、勝手に家を出ていく行為は、場合によっては法定離婚事由である「悪意の遺棄」に該当する可能性があります。悪意の遺棄に該当してしまうと、相手から慰謝料を請求されるリスクもありますので注意が必要です。

    もっとも、相手からDVやモラハラを受けている場合には、相手の同意を得ることが難しいため、相談なく別居をしたとしても問題ありません。このようなケースであれば正当な理由のある別居ですので悪意の遺棄に問われる可能性は低いでしょう。

  5. (5)自分が有責配偶者である場合には離婚請求ができない

    有責配偶者とは、離婚原因を作り、婚姻関係を破綻させた責任のある配偶者をいいます。たとえば、配偶者に暴力を振るったことがある方、不貞行為をしていた方などがこれにあたりえます。

    このような有責配偶者からの離婚請求は原則として認められていません。自ら婚姻関係を破綻させたにもかかわらず、相手に離婚を求めるのは信義に反する行為と考えられているからです。

4、離婚問題を弁護士に相談するべき理由

離婚を決意された方は、弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)離婚の進め方をアドバイスしてもらえる

    離婚の進め方は、基本的には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3種類があります。

    協議離婚を進めるにあたっては、事前の証拠収集、生計や住まいの確保などの準備が必要です。また、裁判離婚を視野に入れている場合には、法定離婚事由の有無が重要となります。

    このように離婚手続きには、さまざまな法的知識が必要となりますので、スムーズに進めていくためには弁護士のサポートが重要です。弁護士に相談することで、離婚の適切な進め方についてアドバイスしてもらえます。

  2. (2)相手との交渉を行ってもらえる

    離婚するためには相手の合意が必要であり、そのための交渉が不可欠です。しかし、結婚を後悔している夫婦では、互いの関係が冷え切っていることも多く、二人だけで話し合いを進めるのは難しいこともあります。

    そのような場合には弁護士に離婚交渉を依頼するのがおすすめです。弁護士は、代理人として相手との離婚交渉を行い、冷静に話し合いを進めることが可能です。また、本人は交渉する必要がありませんので、精神的負担も軽減されます。

  3. (3)有利な条件で離婚できる可能性が高くなる

    離婚にあたっては、慰謝料、財産分与などの金銭条件、また子どもがいる場合は養育費、親権についての話し合いが必要です。離婚の条件には一定の相場があるものもあります。たとえば、養育費・婚姻費用においては裁判所が算定表を公表しており、子どもの人数や年齢による相場を知ることができます。

    ただし、専業主婦か共働きか、祖父母を頼れるかどうか、など環境はそれぞれ異なります。それらを加味した上で適切な離婚条件を定めるのは、一般の方にとっては難しいといえるでしょう。

    離婚問題の実績がある弁護士に相談をすれば、適切な離婚条件となるアドバイスやサポートを受けられ、有利な条件で離婚できる可能性が高くなります

5、まとめ

性格の不一致、価値観の相違などの理由で結婚したことを後悔している方もいらっしゃいます。夫婦関係の修復が困難で、離婚を決意された方は、早めに弁護士に相談をして、今後の進め方についてアドバイスをもらうようにしましょう。

財産分与、慰謝料、親権、養育費など適切な条件で離婚をするには、離婚問題の実績がある弁護士のサポートが不可欠です。離婚をお考えの方は、まずはベリーベスト法律事務所 和歌山オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています