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解雇予告後の勤務はどうすれば良い? 注意するべきポイント

2022年09月01日
  • 不当解雇・退職勧奨
  • 解雇予告後の勤務
解雇予告後の勤務はどうすれば良い? 注意するべきポイント

和歌山労働局が公表する「個別労働紛争解決制度等の利用状況」によると、令和2年度の個別労働紛争相談の件数は2307件であり、そのうち「解雇」に関する相談が232件ありました。これは、「いじめ・嫌がらせ(761件)」「自己都合退職(267件)」に次いで、3番目に多い相談内容です。

会社から唐突に解雇予告をされると、解雇日まで日にちがあったとしても働く気にならず、出勤せずに次の就職先を探したいと考える方も少なくないでしょう。そもそも解雇予告をされたら、その後も解雇日までは勤務し続けなければならないのでしょうか。また、解雇予告を受けたときは、どのような点に注意が必要なのでしょうか。

今回は、解雇予告後の勤務と解雇予告を受けた場合の注意点について、ベリーベスト法律事務所 和歌山オフィスの弁護士が解説します。

1、解雇予告後も勤務しなくてはならないのか

会社から解雇予告を受けた後も、解雇日まで出勤し続ける必要があるのでしょうか。以下では、解雇予告の概要と出勤の要否について説明します。

  1. (1)解雇予告とは

    不意に会社側から解雇されてしまうと、その後すぐに就職先を見つけられるとは限らず、労働者の生活が著しく不安定なものとなってしまいます。

    そのため、会社を辞めさせられる場合は、解雇日の30日以上前(解雇予告期間)にその旨を予告してもらうことが原則です(労働基準法20条1項)。このような告知を「解雇予告」と呼び、解雇に伴う労働者の不利益や生活への影響を緩和するために認められている制度となっています。

    一方で、会社が労働者に対して、少なくとも30日分の平均賃金(解雇予告手当)を支払う場合には、即日解雇(即時解雇)ができることも制度上、定められています(労働基準法20条1項)。また、解雇予告期間である30日に満たない日数で労働者が解雇されるときには、不足日数分の解雇予告手当を会社が支払うことで、解雇が成立します。

  2. (2)解雇予告後も勤務の必要がある

    解雇予告を受けても、会社と労働者の間にある労働契約関係は解約日まで継続します。そのため、基本的に解雇予告後もその会社で勤務しなければなりません

    もっとも、長年会社に勤めている場合には、30日以上の有給休暇を保有している方もいるでしょう。このような未消化の有給休暇がある労働者は、勤務日に有給休暇を使用することで、出勤する必要がなくなります。

2、まずは確認|その解雇理由は正当なもの?

会社側から解雇予告を受けたとしても、すぐに解雇に応じるのではなく、正当な解雇であるかどうかの確認をするようにしましょう。不当解雇であった場合には、その解雇自体の効力がなくなる可能性があります。

  1. (1)解雇をする場合には厳格な要件を満たす必要がある

    解雇は、会社側の一方的な意思表示によって、会社と労働者間の労働契約を終了させる処分です。

    会社が労働者を解雇できる場面については、労働契約法でルールが定められています。もし会社側が制約なく自由に労働者を辞めさせられるとなると、労働者の地位は著しく不安定なものとなってしまうからです。

    労働契約法第16条
    解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。


    このように、行われた解雇に正当な理由がなく、社会通念上相当であると認められない場合は、解雇は無効となります。そのため、正当な理由に基づく解雇でないと感じた場合は、解雇予告をされてもすぐに受け入れないようにしましょう。そして、正当な理由に基づいたものであるか、不当解雇ではないのかを確認していくことが大切です。

  2. (2)よくある解雇理由と不当解雇になるケース

    会社から解雇される場合には、以下で紹介するような理由で解雇を伝えられることがあります。一見正当に見える理由であっても、具体的な状況によっては不当解雇になるケースがあるため、しっかりと確認しましょう。

    ① 能力不足や勤務成績の不良
    会社の就業規則は、解雇をすることが可能である行為等を規定していることがあります。

    就業規則に以下のような事由があり、労働者が該当する場合には、「能力不足または勤務成績の不良」を理由として、解雇が言い渡されることがあるでしょう。

    • 勤務状況が著しく不良であり、改善の見込みがなく、職責を果たし得ないとき
    • 勤務成績が著しく不良であり、向上の見込みがなく、他の業務に転換することもできないなど、就業に適さないとき

    しかし、上記のような理由に基づく解雇は、労働者の能力不足・勤務成績の不良が、企業経営に重大な影響を及ぼす程度の著しいものであることが必要とされる場合があります。さらに、会社が労働者に対して、注意・指導や職種転換・配転・出向などの措置を講じても、労働者に改善の余地がないといえる状況でなければなりません。

    会社がこのような措置を講じることなく、労働者に対して解雇を宣告した場合には、不当解雇である可能性があります。

    ② 会社の経営不振
    会社の経営不振を理由に辞めさせられる場合は、通常の解雇ではなく、整理解雇として行われます。

    整理解雇とは、労働者に何らかの落ち度がある解雇とは異なり、会社側の一方的な都合でなされる解雇です。そのため、通常以上に解雇の有効性を厳格に判断されることとなります。

    労働者を辞めさせること以外に経営不振を脱却できる方法があるにもかかわらず、いきなり解雇を言い渡した場合や対象者の選定に合理性がないような場合には、不当解雇に該当するかもしれません。

    ③ 労働者の病気や怪我
    業務中の出来事が原因で労働者が病気や怪我をし、療養のために会社を休むことになった場合、療養期間中と復帰後30日間は、会社は労働者を解雇できないと定められています(労働基準法19条1項)。

    また、病気や怪我によって業務に支障が出ることになったとしても、他の職務に配置転換するなどの措置が可能である場合には、会社側はその方針で検討しなければなりません。
    そのような解雇回避の措置をとることなく解雇を通告された場合には、不当解雇の可能性があります。

3、不当解雇の可能性があるときに行うべきこと

不当解雇の可能性があると考えられる場合には、以下のような対応をとることが重要です。

  1. (1)退職届の提出や退職合意書へのサインはしない

    会社側から解雇予告を受けるときに、退職届の提出や退職合意書へのサインを求められることがあります。そのときに、「どうせ会社を辞めるなら解雇も退職も変わらないだろう」と安易な気持ちで会社の指示に応じてはいけません。

    そのまま退職届を提出したり退職合意書にサインをしたりしてしまうと、解雇ではなく自ら希望して退職した「自己都合退職」という扱いになってしまいます。そうすると、仮に正当な解雇理由に基づかない不当解雇であったとしても、会社からの強要による提出を除き、後から退職届等の提出を撤回することができなくなる可能性が非常に高いです。

    会社としても後日、解雇の有効性を争われることを避けたいという思いから、退職届の提出や退職合意書へのサインを求めてくることが多いため、書類へ安易にサインをしないよう注意しましょう。

  2. (2)解雇理由証明書の交付請求

    解雇理由証明書とは、解雇されることになったのはどのような理由であったのかを記載している書面です。解雇理由証明書は、解雇の際に必ず交付されるものではありません。

    しかし、労働者が会社側(使用者)に対して解雇理由証明書の交付を求めた場合、使用者は遅滞なくこれに応じなければならない義務があります。

    もし不当解雇を争うとなれば、自分がどのような理由で解雇されたのかを知ることが必要です。解雇理由証明書は、そのための重要な証拠となりますので、解雇時には必ず請求しましょう。

  3. (3)解雇の撤回を求める交渉、労働審判・裁判

    不当解雇であるとして解雇の無効を主張する場合には、まずは会社と交渉を行い、解雇の撤回を求めていくことになります。

    もっとも、会社側としては、自らが行った解雇は当然有効なものであると考えているため、労働者に解雇の撤回を求められたとしても、容易には応じてくれないでしょう。
    そのような場合には、労働審判や裁判といった法的手段によって解決を図ることになります。

  4. (4)解雇予告手当や失業保険をもらう

    前述のとおり、解雇予告を受けたとき、解雇予告期間が30日に満たない分については、その差分の解雇予告手当をもらうことが可能です。また即日解雇(即時解雇)を言い渡されたにもかかわらず、30日分を超える解雇予告手当の支払いがないという場合には、会社に請求するとともに、金額に誤りがないかをしっかりと確認するようにしてください。

    ただし、解雇予告手当は有効な解雇を前提とするものですので、解雇の有効性を争う可能性がある場合には、自ら請求することはやめておいた方が良いでしょう。

    解雇予告を受けて解雇日を過ぎれば、失業保険の給付を受けることができます。
    このときに不当解雇を争っている場合には、解雇について有効か無効か判明していませんが、「仮給付」という方法によって失業保険の給付を受けることが可能です。

    仮給付を受けた後日、解雇が有効であると決着がついた場合は、取得した給付金はそのままもらうことができます。しかし、解雇が無効であれば、当然ながら給付金を返還しなければなりません。

4、不当解雇は弁護士へ相談を

解雇のことでお悩みの方は、弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)不当解雇であるかどうかを判断してもらえる

    会社から解雇を言い渡された場合には、納得できず不当解雇だと考える方も少なくありません。しかし、不当解雇にあたるかどうかについては、解雇理由に該当する具体的な事情の有無や、解雇という手段が相当であったかなど、さまざまな事情を考慮して判断する必要があります。

    このような判断には専門的な法的知識が不可欠であるため、一般の方では正確に判断することは難しい事柄です。
    解雇に納得することができないという方は、ご自身で行動する前に、一度弁護士に解雇の有効性について判断してもらうと良いでしょう。

  2. (2)会社との交渉を任せることができる

    不当解雇であった場合には、会社に対して解雇の撤回を求めていくことになります。しかし、労働者個人で会社に対して働きかけたとしても、容易には応じてくれず、交渉のテーブルにつくこと自体が難しい場合もあるでしょう。

    弁護士であれば、労働者の代理人として会社と交渉を行えるため、労働者個人で対応するよりも、会社が話し合いに応じてくれる可能性が高くなると期待できます。また、法的根拠に基づきながら解雇の無効を主張することによって、解雇の撤回が認められる可能性も高まるでしょう。

    仮に話し合いで解決することができない場合でも、労働審判や裁判といった法的手段によって解決することが可能です。労働審判や裁判に移行したとしても、弁護士がサポートできますので、まずは、弁護士に相談してみましょう。

5、まとめ

即日解雇でない限りは、解雇予告を受けた後も会社で勤務しなければなりません。しかし、解雇予告後の勤務は、労働者本人もやる気がなくなるだけでなく、再就職の準備をする時間も減ってしまいます。そのため、未消化の有給休暇がある場合には、それを利用することも検討すると良いでしょう。

「会社からの解雇に納得ができない」「解雇の有効性をはっきりさせたい」とお考えの方は、ベリーベスト法律事務所 和歌山オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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