キャバクラは浮気になる? 離婚時に慰謝料請求できるケースを紹介
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夫が定期的にキャバクラ通いをしている場合、浮気といえるのでしょうか。
「通うのをやめる」といいながら隠れて通ったり、「仕事の付き合いだから」と多額のお金をつぎ込んだりしている場合には、キャバ嬢と浮気しているからではないのか、と疑うのも当然といえます。
そこでこの記事では、夫がキャバクラ通いを続けることは、「浮気(不貞行為)」になるのか、キャバクラ通いを理由に離婚や慰謝料請求ができるのかなどについて、ベリーベスト法律事務所 和歌山オフィスの弁護士が解説していきます。


1、夫のキャバクラ通いは浮気になる?
「浮気」の定義は人により異なりますが、ここでは、民法において離婚の正当な理由(法定離婚事由)となる「不貞行為」にあたるのかを考えてみましょう。
不貞行為とは、配偶者のある者が自由な意思に基づいて、配偶者以外の第三者と肉体関係・性的関係を持つことをいいます。そのため、キャバクラに通っているという事実だけでは、不貞行為にあたるとはいえません。
民法には、裁判離婚ができる法定離婚事由として、以下の5つを規定しています(民法第770条1項各号)。
- 配偶者に不貞な行為があったとき
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
キャバクラ通いが不貞行為であると主張し、離婚する場合には、キャバ嬢と配偶者が肉体関係・性的関係があることを立証しなければなりません。
「キャバクラ」とは、一般的に女性が客席に着き接待を行う飲食店のことを指し、ドレスやヘアセットなどで着飾った女性(いわゆるキャバ嬢)が客のそばに座り、一緒にお酒を飲んだり会話を楽しんだりします。さらに、店舗によっては、アフターサービスとして同伴や食事をしたり、頻繁に連絡を取り合ったりする場合もあります。
そのため、上記のようなキャバクラ店に通っているだけでは、性的関係・肉体関係を持っているとはいえず、「不貞行為」を立証することはできません。したがって、キャバクラ通いだけを理由として裁判上の離婚を請求することは難しいといえます。
2、夫のキャバクラ通いが離婚理由として成立するケース
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(1)協議離婚で夫が同意する
夫のキャバクラ通いを理由として離婚したい場合、夫が「協議離婚」に同意すれば離婚は可能です。
協議離婚とは、夫婦が話し合いのもと合意によって離婚を成立させるものです。民法には、「夫婦は、その協議で、離婚をすることができる」と規定されています(民法第763条)。
協議離婚の場合には、両当事者が納得したうえで離婚することになるので、どのような離婚理由であっても両当事者が納得しているのであれば離婚を成立させることが可能です。
もし、夫婦2人だけの話し合いでは離婚に至らないという場合には、離婚調停・離婚審判を申し立てるという方法もあります。
これらの法的手続きによっても離婚できない場合には、訴訟を提起して裁判上の離婚を請求していく必要がありますが、それには前述した法定離婚事由が存在していることが必要となります。 -
(2)キャバクラに使うお金が高額になり家計が破綻した
キャバクラ通いが肉体的な関係(不貞行為)でなくても、法定離婚事由に該当する場合には、裁判上の離婚ができる可能性があります。
たとえば、キャバクラ通いでお金使いが荒くなり、家庭に一切お金を入れなくなったり、生活費を負担しなくなったりした場合には、「悪意の遺棄」に該当する可能性が出てきます。
悪意の遺棄とは、正当な理由なく夫婦間の同居・協力・扶助義務をしない状態を指します。したがって、キャバクラ通いにのめりこんでしまって、家計を破綻させたという場合も「悪意の遺棄」に該当する可能性があります。 -
(3)その他婚姻を継続し難い重大な事由がある場合
キャバクラ通いをきっかけとして離婚するためには、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当しているかどうかもポイントとなります。
たとえば、以下のような事情がある場合には、すでに婚姻関係が破綻していると判断される可能性があります。- キャバクラ通いが相当長期にわたり家庭に与える悪影響が甚大であること
- キャバクラ通いが妻や子どもに与える精神的なダメージが大きいこと
- キャバクラ通いが原因で夫婦関係が悪化したこと
- 夫婦関係が悪化し、別居に至ったこと
3、夫のキャバクラ通いや浮気を理由に慰謝料請求できる?
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(1)夫の行為が不法行為に該当する場合には慰謝料請求が可能
キャバクラ通いをやめない夫に対して、慰謝料を請求することはできるのでしょうか。
慰謝料とは、配偶者の「不法行為」によって受けた精神的な苦痛を補償するために支払われる賠償金のことをいいます。
浮気における不法行為でまず挙げられるのは、配偶者以外との肉体関係、
つまり不貞行為です。また前述した悪意の遺棄などの法定離婚事由に該当する場合も、不法行為が認められる可能性が高いでしょう。
一方それ以外の場合であっても、妻の権利・法律上保護される利益を侵害すると認められる場合には、精神的損害が認められる可能性があります。
具体的には以下のようなケースが考えられます。- 特定のキャバ嬢と異性交際同様の関係が長期間にわたって継続している
- 頻繁に特定のキャバ嬢とキスやハグなどを繰り返している
- 夫がキャバクラ通いをやめないことで妻が精神不調を来している
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(2)慰謝料請求が認められる場合の相場は?
キャバクラ通いが不法行為に該当すると判断された場合であっても、慰謝料の金額は内容によってケース・バイ・ケースです。
慰謝料の相場としては、被害者である妻の権利・利益侵害の程度にもよりますが、数万円〜数十万円程度だと考えられます。
また、不貞行為などの法定離婚事由が認められる場合には、200万円程度の慰謝料が認められる可能性もあります。
キャバクラ通いが原因で夫婦関係が悪化した場合であっても、同居して共同生活を継続している場合には、不法行為はそこまで悪質ではないとして慰謝料が少額にとどまる可能性があります。
逆にキャバクラ通いが原因で別居や離婚に至ったという場合には、慰謝料の金額も高額に傾く可能性があります。
4、夫のキャバクラ通いで離婚する際に知っておくべきこと
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(1)キャバ嬢との関係が分かる証拠を集める
夫のキャバクラ通いを原因として離婚や慰謝料を請求しようとする場合には、事実関係を明らかにすることができる証拠を収集・保全しておくことが重要です。
夫のキャバクラ通いを立証するために役立つ証拠としては以下のようなものです。- 通い詰めているキャバクラ店の名称や場所
- キャバクラに出入りしていることが分かるレシートやクレジットカード明細書
- キャバクラ店に出入りしている現場をおさえた写真や動画
- キャバ嬢と頻繁に交わしているLINEやメールのやり取り内容
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(2)離婚後の生活費を確保する
夫と離婚が成立したあとの生活費を確保しておくことも今後の生活のためには重要です。
夫婦が離婚する場合には、慰謝料請求のほかにも、別居後の生活費の分担、財産分与、養育費の支払いなどについて取り決めておくことができます。
「財産分与請求」とは離婚をした者の一方から他方に対して、婚姻期間中の夫婦共有財産の分与を請求することです。
また、未成熟の子どもの親権者となる場合には、子どもが経済的・社会的に自立するまでに必要となる「養育費」の支払いを請求することができます。
シングルマザーとなった場合には、児童手当や児童扶養手当、母子福祉資金貸付金などの各種公的補助を受けられる可能性もあるため、離婚後の生活費を確保するためには、適切に申請する必要があります。
5、まとめ
浮気の定義はさまざまですが、特定のキャバ嬢と肉体・性的関係があれば「不貞行為」に該当し、離婚請求や慰謝料請求をできる可能性があります。
また、キャバクラに多額のお金をつぎ込んで家庭を顧みない場合にも、離婚が認められる可能性は高くなります。
ただし、夫婦間の状況によって離婚や慰謝料請求が認められるかは判断が異なりますし、慰謝料の金額も事案によってさまざまですので、ご自身のケースで離婚や慰謝料が請求できるのかお悩みの方は、まずは一度ベリーベスト法律事務所 和歌山オフィスの弁護士にご相談ください。離婚トラブルの解決実績がある弁護士が、トラブル解決に向けてサポートします。
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