交通事故で弁護士に依頼したら示談成立まで期間はどれぐらいかかる?
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和歌山県警察が公表している交通事故の統計資料によると、令和4年に和歌山県内で発生した交通事故件数は1389件でした。和歌山県内の交通事故件数は、平成14年以降、21年連続で減少しています。
交通事故の被害に遭った場合には、保険会社との示談交渉により、賠償金の支払いを受けることになります。しかし「示談が成立するまでどのくらいの期間がかかるのか」など示談成立までの期間が長引くことに不安を感じている被害者の方も多いのではないでしょうか。
今回は、交通事故で弁護士に依頼をした場合における示談成立までの期間について、ベリーベスト法律事務所 和歌山オフィスの弁護士が解説します。
1、交通事故で弁護士に対応を依頼するメリット
交通事故の被害にあった場合には、弁護士に依頼することで、以下のようなメリットがあります。
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(1)慰謝料が増額する可能性がある
交通事故により怪我をしたり、後遺障害が生じてしまったりした場合には、それによる肉体的・精神的苦痛に対して慰謝料が支払われます。
慰謝料を算定する基準には、以下のような3つの基準があります。
- 自賠責保険基準
- 任意保険基準
- 弁護士基準(裁判所基準)
このうち慰謝料の金額がもっとも高くなるのは、弁護士基準で計算した場合です。ただし、弁護士基準を参考にご自身で交渉しても保険会社が応じることはなく、弁護士基準を利用することができるのは、弁護士が示談交渉を行う場合に限られます。
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(2)保険会社との示談交渉を任せることができる
交通事故の賠償金の支払いを受けるにあたっては、保険会社の担当者との示談交渉が必要になります。
しかし、交通事故の示談が初めての経験の場合、どのような流れで示談交渉を進めればよいかわかならいことも多いはずです。また、保険会社から賠償額の提示を受けたとしても、その内容が適正なものであるかどうか判断できませんので、不利な条件で示談に応じてしまうリスクもあります。
弁護士に依頼をすれば、保険会社との交渉をすべて任せることができます。示談交渉による負担を軽減できるほか、不利な条件で示談が成立してしまうリスクを回避できるでしょう。 -
(3)適切な後遺障害等級認定を受けられる
治療を継続してもこれ以上症状の改善が見込めない状態を「症状固定」といいます。症状固定となっても後遺症の症状がある場合には、後遺障害等級認定の手続きを行うことができます。
後遺障害等級認定の手続きは、基本的には書面審査になりますので、後遺障害診断書の記載や検査結果などが重要になります。
弁護士に依頼すれば、治療段階から適切な後遺障害等級認定を受けるためのアドバイスをもらうことができます。また、加害者側の保険会社に直接請求する「被害者請求」をすると、適切な後遺障害等級認定を受けられる可能性が高まります。こうした申請も、弁護士に任せることができる点も大きなメリットです。 -
(4)スムーズな示談交渉により早期解決が期待できる
示談交渉に不慣れな場合、保険会社とのやり取りに時間がかかってしまい、示談の成立が長引いてしまうことがあります。
弁護士に依頼すれば、スムーズな示談交渉により早期に示談を成立できる可能性が高まり、不明点や不安なことも随時相談できるため、解決までのストレスも軽減されるでしょう。
2、弁護士が示談を行うとどれぐらいの期間がかかるのか
弁護士に交通事故の示談交渉を依頼した場合には、解決までどのくらいの期間がかかるのでしょうか。
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(1)物損事故の場合
物損事故とは、車などの物の損害だけが生じた事故類型をいいます。
一般的に物損事故の発生から示談成立までは、以下のような流れで進みます。
- ① 交通事故の発生
- ② 修理費などの見積書の取得
- ③ 示談交渉
- ④ 示談成立
物損事故の示談成立までの期間は、一般的なケースで2~3か月程度です。ただし、修理費の必要性・相当性や過失割合に争いがあるような事案では、それよりも示談成立までの期間が長くなります。
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(2)人身事故の場合
人身事故とは、被害者に怪我などの損害が生じた事故類型をいいます。人身事故が発生した場合、被害者に後遺障害が生じるか否かにより、示談成立までの流れや期間が異なってきます。
被害者自身が示談交渉をする場合、保険会社が提示した内容どおりの示談をするのであれば、最短で示談を成立させることができます。しかし、それでは不利な内容の示談になるおそれがありますので、保険会社からの提示内容の精査を弁護士に依頼することをおすすめします。
- 被害者に後遺障害が生じないケース
- ① 交通事故の発生
- ② 怪我の治療
- ③ 怪我の完治
- ④ 示談交渉
- ⑤ 示談成立
人身事故(被害者に後遺障害が生じないケース)の示談成立までの期間は、怪我の治療に要する期間によって左右されますが、一般的に3~9か月程度かかります。
被害者自身で賠償額の増額交渉をするよりも、弁護士に依頼した方が相場を踏まえて交渉ができますので、1か月程度は示談成立までの期間を短縮できる可能性があります。
- 被害者に後遺障害が生じたケース
- ① 交通事故の発生
- ② 怪我の治療
- ③ 症状固定
- ④ 後遺障害等級認定の申請
- ⑤ 示談交渉
- ⑥ 示談成立
人身事故(被害者に後遺障害が生じたケース)の示談成立までの期間は、怪我の治療に要する期間などによって左右されますが、一般的に1年~1年半程度かかります。
後遺障害が生じたケースでは、弁護士に依頼したとしても示談交渉の期間だけで半年以上かかることがありますが、有利な条件での示談をまとめるために必要な期間です。
保険会社の提示どおりの内容で示談を成立させれば早期に解決はできますが、適正な賠償額と大きな開きが生じてしまいます。そのため、時間はかかりますが弁護士に依頼して、適正な金額になるよう示談交渉をしてもらうべきでしょう。 -
(3)死亡事故の場合
死亡事故の場合には、以下のような流れで手続きが進みます。
- ① 交通事故の発生
- ② 被害者の死亡
- ③ 四十九日などの法要の実施
- ④ 示談交渉
- ⑤ 示談成立
死亡事故では、一般的に四十九日などの法要を終えてから示談交渉が開始されます。示談成立までの期間は、事案によって異なりますが、半年~1年程度になります。
ただし、過失割合に争いがあるようなケースでは、加害者の刑事事件の進展を待ってから、示談交渉に着手することになりますので、示談成立まで1年以上かかることもあります。
3、交通事故で弁護士に依頼した場合にかかる費用
交通事故の事案を弁護士に依頼した場合には、どの程度の費用がかかるのでしょうか。以下では、弁護士費用の種類と費用の相場について説明します。
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(1)弁護士費用の種類
弁護士費用には、主に以下のような種類があります。
- 法律相談料……法律相談を行った際に発生する費用
- 着手金…………弁護士に事件を依頼した際に発生する費用
- 報酬金…………事件が解決した際に成果に応じて発生する費用
- 実費……………収入印紙代、切手代、コピー代など事件処理の際に発生する費用
- 日当……………遠方への出張や出廷が必要になった際に発生する費用
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(2)弁護士に依頼した場合にかかる費用
弁護士に依頼した場合にかかる費用は、弁護士費用特約に加入しているかどうかによって異なってきます。
- 弁護士費用特約に加入しているケース
弁護士費用特約とは、交通事故の損害賠償請求を弁護士に依頼した場合に発生する弁護士費用を保険会社が負担する特約です。
弁護士費用特約には、上限が定められており、一般的に法律相談料は1事故1名につき10万円まで、着手金・報酬金などの費用は300万円までとされています。
弁護士費用特約により弁護士費用全額が支払われるわけではありませんが、300万円を超えるようなケースは、死亡事故や重度の後遺障害が生じた場合に限られます。そのため、ほとんどのケースでは、弁護士費用の負担なく依頼することができるでしょう。
- 弁護士費用特約に加入していないケース
弁護士費用特約に加入していない場合には、被害者自身で弁護士費用を負担しなければなりません。弁護士費用は、経済的利益によって計算するのが一般的ですので、事故によりどのくらいの損害が発生し、相手方からどのくらいの賠償金の支払いを受けたのかによって金額が変わってきます。
一般的な相場としては、以下の金額になります。
- 法律相談料……1時間あたり1万円
- 着手金…………20~50万円程度
- 報酬金…………獲得した賠償金の10%程度
なお、ベリーベスト法律事務所では、交通事故に被害に遭った方の経済的な負担を極力減らすため初回60分の法律相談料と着手金は無料です。まずはお気軽にご相談ください。
4、少しでも早く示談を終わらせたいときすべきこと
少しでも早く示談を終わらせたい場合には、以下のような対応を検討しましょう。
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(1)示談交渉を弁護士に依頼する
被害者本人は、仕事や家事の合間に時間を見つけて示談交渉に対応しなければなりませんので、まとまった時間がとれず示談成立まで長引いてしまうことがあります。少しでも早く示談を終わらせたいのであれば、弁護士への依頼を検討するとよいでしょう。
弁護士に依頼すれば、保険会社の担当者との交渉をすべて任せることができます。また弁護士は、豊富な知識と経験に基づいてスムーズに交渉を進めることができますし、争点に絞って話し合いをすることができますので、被害者自身が示談交渉を行うよりも早期に示談を成立できる可能性が高くなります。 -
(2)ある程度の条件で譲歩する
解決のためには一定の譲歩も必要になります。保険会社の提示額をそのまま受け入れる必要はありませんが、適切な範囲内であれば、譲歩することにより早期解決が見込めます。
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(3)示談交渉から訴訟に切り替える
保険会社の提示額をそのまま受け入れるのが一番早い解決方法になります。しかし、それでは不利な条件で示談をすることになりますので、被害者に生じた損害の回復を図ることができません。
そのため、示談交渉が長引くようであれば、早い段階で訴訟に切り替えることも検討すべきでしょう。ずるずると示談交渉を続けても満足いく結果は得られませんので、早めに訴訟に切り替え、適正な賠償金を請求していくべきです。
5、まとめ
交通事故の示談交渉を弁護士に依頼することで、本人が対応するよりもスムーズに交渉を行うことができますので、示談成立までの期間を短くできたり、有利な条件で示談できたりする可能性が高くなります。
早く煩わしい手続きから解放されたいという気持ちがあったとしても、焦って示談に応じてしまうと本来得られるはずの賠償金が減額されてしまいます。弁護士に依頼することにより手続き等の負担は大幅に減少しますので、適正な賠償金を獲得するためにも、まずはベリーベスト法律事務所
和歌山オフィスまでお気軽にご相談ください。
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